「値下げをしないと今の弊社では売れません」
値上げアップの重要性を説明して、ご理解いただいても現実問題として値上げが難しいということがあります。
値上げの方法も色々あるので、値上げができないという結論にはすぐに至らない方が良いとは説明がしますが、確かに値上げが難しいという場合もあります。
今回は値下げをする時に気を付けておきたいことについてです。
値下げをする場合には客数に注目
売上がしっかり上がって利益が出ていればよいので値下げはいつでも悪という訳ではありません。
しかし、売上は「単価×客数」という単純な公式で表されるので、値下げをする=単価を下げるという場合には、客数を上げることができるのか、客数が上がると利益はしっかりでるのか、を考えないといけません。
値下げをすると予想以上に客数を上げないといけないという場合がほとんどです。
1割値下げをして1割客数を上げれば合う、ということはほぼありません。
しっかりシミュレーションをしてその客数が現実的なのかを考える必要があります。
あるサービス業を例にあげてみましょう。
現在の単価が10,000円、客数が200人、原材料が10%、固定費150万としましょう。
この場合、売上は10,000円×200人=2,000,000円になります。
原材料が10%なので、2,000,000円−200,000円=1,800,000円が粗利益となります。
1,800,000円−固定費1,500,000円=300,000円が利益となります。
ここで1割値下げをすると客数をどのぐらいアップしないといけないか、を考えてみましょう。
10,000円の1割引きですから、単価は9,000円になります。
原材料は変わらないので1,000円となり、粗利益は8,0000円となります。
値下げ前の粗利益を確保するためには、1,800,000円÷8,000円=225名の客数が必要になります。
増加率は11.25%となります。
10%価格を下げて、11.25%客数を上げないということになります。
新規顧客と既存顧客は分けて考える
新規のお客様と既存のお客様は分けて考えるようにしましょう。
通常は新規のお客様の方が顧客取得コストが大きくなります。
だからといって既存顧客の方だけに絞るとどんどん客数は減少してしまうでしょう。
新規の顧客には安くしてサービスを試してもらい、既存顧客になったら正規料金をいただく、ただし既存顧客には他のサービス面で優遇する等々、新規と既存を分けて考えるようにしましょう。
追々は値上げができる仕組みを作ろう
値段を下げる場合には、追々は値上げができるような仕組みを作りましょう。
仕組みというのはサービスメニューがお試し価格からはじまって徐々に内容がグレードアップするとともに価格が上がるようにする等々。
お客様が「この価格は今だけなんだな」とわかる方が良いでしょう。
この辺りの作り込みは、業種やサービス内容によっても変わってくると思いますのでしっかり検討をしてみましょう。
まとめ
基本的には値上げ=高付加価値化・差別化が中小企業が成長する道だとは思いますが、値下げもしっかり考えて行えば効果的な施策になります。
売上=客数×単価、新規と既存という枠組みで仕組み作りをしていきましょう。
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