社長が最低限知っておきたい管理会計の基本
社長が最低限知っておきたい管理会計の基本
会計の業務は、専門用語も多く、社長にとって難しく感じやすい分野です。 ただし、会社を経営する以上、社長も基本的な考え方は押さえておいた方がよいです。 その中でも最初に理解したいのは、「利益を上げる」という言葉を4つのタイプに分けて考えることです。 利益改善の方向性がわかるだけで、経営判断はかなり整理しやすくなります。
この記事でわかること
- 社長が最低限知っておきたい管理会計の基本
- 「利益を上げる」という言葉を分解して考える方法
- 単価・数量・変動費・固定費の4つの視点
- 中小企業が価格を下げて数量を増やす戦略に注意すべき理由
- 利益改善を考える時に、まず確認したいポイント
社長に管理会計の基本が必要な理由
社長に必要なのは、細かい会計処理を覚えることではなく、数字を経営判断に使うことです。
会計というと、仕訳、決算書、税金、勘定科目などを思い浮かべる方が多いと思います。 これらは専門的な知識が必要で、税理士や経理担当者の力を借りるべき部分も多くあります。
しかし、社長がまったく数字を見なくてもよいわけではありません。 なぜなら、会社の利益、価格設定、経費の使い方、人員配置、事業の方向性は、すべて経営判断に関わるからです。
社長がまず押さえたいのは、難しい会計知識ではなく、 利益がどのような仕組みで増えるのかという基本です。
```管理会計は「経営のための数字」です
税金を計算するための会計だけでなく、経営判断に使うための数字の見方が管理会計です。 社長が見るべき数字は、過去の結果だけではなく、これから何を変えるべきかを考えるための数字です。
「利益を上げる」を4つに分けて考える
「利益を上げる」という言葉は、大きく4つのタイプに分けて考えることができます。
経営の現場では、「もっと利益を上げたい」「売上を伸ばしたい」「経費を下げたい」という言葉がよく使われます。 しかし、これらを漠然と考えていると、具体的に何をするべきかが見えにくくなります。
まずは、利益を増やす方法を次の4つに分けて考えると整理しやすくなります。
```| 利益を増やす方法 | 内容 | 主な検討ポイント |
|---|---|---|
| 単価を上げる | 商品やサービスの価格を上げる | 価値の伝え方、顧客層、サービス内容 |
| 数量を増やす | 販売数や契約数を増やす | 集客、営業、広告、紹介 |
| 変動費を下げる | 売上に連動して発生する原価を下げる | 仕入れ、外注費、材料費、配送費 |
| 固定費を下げる | 売上に関係なく発生する費用を下げる | 家賃、人件費、システム費、広告費 |
この4つの視点を持つだけでも、利益改善の会話はかなり具体的になります。 「利益を上げたい」と考える時に、どこを変えようとしているのかを明確にすることが大切です。
```1. 単価を上げて利益を上げる
中小企業がまず検討したいのは、単価を上げて利益を改善する方法です。
単価を上げるというと、「お客様が離れてしまうのではないか」と不安に感じる社長も多いと思います。 もちろん、何の説明もなく価格を上げれば、反発が出る可能性があります。
しかし、価格が低すぎる状態のままでは、忙しいのに利益が残らない会社になってしまいます。 特に中小企業は、人員や時間に限りがあります。 大量販売で勝負するよりも、自社の価値をしっかり伝え、適正な価格で選ばれる形を作ることが重要です。
```単価を上げる時に考えたいこと
- 自社の強みや価値がきちんと伝わっているか
- サービス内容と価格のバランスが合っているか
- 無料対応や曖昧なサービスが増えていないか
- 安さ以外で選ばれる理由があるか
- 既存顧客への説明方法を準備できているか
2. 数量を増やして利益を上げる
数量を増やす方法はわかりやすいですが、中小企業では慎重に考える必要があります。
販売数、契約数、来店数、問い合わせ数を増やすことは、利益改善の代表的な方法です。 Web集客、広告、紹介、営業活動などは、数量を増やすための取り組みと言えます。
ただし、数量を増やすと、それに伴って対応時間や業務負担も増える可能性があります。 利益率が低い商品やサービスを大量に増やしてしまうと、売上は増えても社内は忙しくなり、利益もあまり残らないという状態になりかねません。
```| 数量を増やす時の確認点 | 確認する理由 |
|---|---|
| 対応できる人員があるか | 注文や契約が増えても対応できなければ品質が下がるため |
| 利益率は十分か | 数を増やしても利益が残らなければ意味が薄いため |
| 業務が標準化されているか | 毎回個別対応だと、数量増加に耐えにくいため |
| 既存顧客への影響はないか | 新規対応に追われ、既存顧客フォローが弱くなる可能性があるため |
3. 変動費を下げて利益を増やす
変動費を下げるとは、売上に連動して発生する原価や外注費を見直すことです。
変動費とは、売上や販売数量に応じて増減する費用です。 たとえば、仕入れ、材料費、外注費、配送費、販売手数料などが該当します。
変動費を下げることができれば、同じ売上でも利益が残りやすくなります。 ただし、単純に安い仕入れ先に変える、外注費を無理に下げるといった方法は注意が必要です。 品質が落ちれば、結果的に顧客満足度や信頼を損なう可能性があります。
```変動費を下げる時の注意点
変動費の削減は、利益改善に効果があります。 ただし、品質や納期、顧客満足度を犠牲にしてしまうと、長期的には会社の価値を下げる可能性があります。 単なるコストカットではなく、仕組みの改善として考えることが大切です。
4. 固定費を下げて利益を増やす
固定費を下げることも利益改善の一つですが、削りすぎには注意が必要です。
固定費とは、売上に関係なく毎月発生する費用です。 たとえば、家賃、人件費、システム利用料、保険料、通信費、広告費などがあります。
固定費を見直すことで、利益が残りやすい体質を作ることができます。 特に、使っていないサービス、効果が見えにくい支出、惰性で続けている契約は定期的に確認した方がよいです。
一方で、人材育成、情報発信、Web活用、AI活用、顧客フォローなど、将来の売上や効率化につながる支出まで削ってしまうと、会社の成長力が落ちることがあります。
```| 固定費の種類 | 見直し方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 使っていない契約 | 解約やプラン変更を検討する | 必要な機能まで失わないようにする |
| 広告費 | 成果や導線を確認する | 単純に削るより改善が必要な場合もある |
| 人件費・外注費 | 役割や業務範囲を整理する | 人を削る前に仕組み化を検討する |
| システム費 | 重複や未使用ツールを確認する | 効率化に役立つものは残す判断も必要 |
一番多い間違いは価格を下げて数量を増やすこと
中小企業が注意したいのは、とにかく価格を下げて数量を増やそうとすることです。
「安くすれば売れる」 「数を増やせば利益が出る」 これは一見わかりやすい考え方です。 しかし、中小企業にとっては成功しにくい戦略になることがあります。
大企業であれば、大量生産、大量販売、広告投資、物流、仕入れ力などを活かして、低価格でも利益を出せる場合があります。 しかし、中小企業は同じ戦い方をすると、人手も時間も足りなくなりやすいです。
価格を下げて数量を増やすと、売上は増えるかもしれません。 しかし、その分だけ対応件数が増え、利益率が下がり、現場が忙しくなります。 結果として、社長やスタッフが疲弊し、改善の時間もなくなってしまうことがあります。
```中小企業が考えるべき方向性
中小企業は、大企業と同じように低価格・大量販売で勝負するよりも、 自社の価値を伝え、適正な価格で選ばれる形を作ることが大切です。 価格、数量、原価、固定費のバランスを見ながら、無理なく利益が残る仕組みを考える必要があります。
FAQ
```この記事の要点まとめ
- 社長に必要なのは、細かい会計処理よりも経営判断に使う数字の見方
- 「利益を上げる」は、単価・数量・変動費・固定費の4つに分けて考える
- 単価を上げるには、自社の価値や選ばれる理由を伝える必要がある
- 数量を増やす時は、対応力や利益率も確認する必要がある
- 変動費・固定費の見直しは重要だが、品質や成長力を落とさないよう注意する
- 中小企業は、低価格・大量販売の戦略に慎重になるべき
数字の見方を変えると、経営判断も変わります
管理会計は、難しい会計処理を覚えるためのものではありません。 社長が会社の利益構造を理解し、どこを変えれば利益が残るのかを考えるためのものです。
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